今回は転職初心者に向けて「キャリアの棚卸し方法」について解説していきます。
この記事は、以下に当てはまる人に読んでいただきたいと思います。
- これから転職を始めようとしている人
- キャリアの棚卸し方法を具体的に知りたい人
- これまでのキャリアを見つめ直し、キャリアアップを考えたい人
筆者は大手電気機器メーカーで管理職をしています。即戦力としての人材を中途採用する立場でもあるので、採用者視点で転職ノウハウや注意すべきポイントをお伝えしています。
これから転職を始める人は、まず自身のキャリアの棚卸しから実施してほしいと思います。
でもキャリアの棚卸しとは具体的に何をすればいいのでしょうか?
この記事では、転職初心者に向けてキャリアの棚卸しの具体的な手順を解説していきます。
テンプレ・参考事例も用意しているので、ぜひ活用してみてくださいね。
転職の始めにキャリアの棚卸しをする目的
転職を始める最初のステップとして、まずキャリアの棚卸しをすることをオススメしています。
ではキャリアの棚卸しは、何のためにするのでしょうか?
キャリアの棚卸しをするメリットはいくつかありますが、最大の目的は、
自分の転職市場価値を正しく理解する
ということです。
転職活動を始める人の中には、自分の転職市場価値を低く見積もりすぎている人、逆に高く見積もりすぎている人がいます。
現在の会社での評価・年収と、一般的な市場価値に照らした評価・年収は必ずしも一致しません。
ですので、自分の転職市場価値を正しく理解しておかないと、
「もっといい年収を交渉できるのに…」
「高い年収を希望しすぎてなかなか転職先が決まらない…」
といった需要と供給のミスマッチが起こってしまいます。
自分の転職市場価値を知っていれば、こうしたミスマッチは減らすことができますよね。
転職活動をスムーズに進めるためにも、「キャリアの棚卸し」をまず最初にしておきましょう。
それではキャリアの棚卸し方法を解説していきます。
キャリアの棚卸し方法 3ステップ
キャリアの棚卸しの完成形はこのようなイメージです。
このシートは誰かに見せる資料ではなく、あくまで自分の理解のために作るものなので、見栄えにはこだわらなくてOKです。
ExcelやPPTなど自分の慣れたツールで作るのが良いでしょう。
それでは具体的なキャリアの棚卸しの手順を3ステップで解説します。
- 手順1:これまでの「所属と業務内容」を洗い出す
- 手順2:主な「実績」を書き足す
- 手順3:業務を通じて備わった「業務経験」と「スキル」を洗い出す
手順1:これまでの「所属と業務内容」を洗い出す
まずは、縦軸に「年数」を書いて、「所属」と主な「業務内容」を箇条書きで洗い出します。
担当する業務名称だけでなく、
- どのような関係者・人数規模でする業務なのか
- 自分はどのような役割を担っていたのか
- どのくらいの期間(何年・何ヶ月)担当したのか
といったことを第三者がイメージできるように、なるべく具体的に書き出してみましょう。
手順2:主な「実績」を書き足す
業務内容が洗い出せたら、どのような実績や成果があったか書き足してみましょう。
実績や成果がすぐに思い浮かばない人もいると思います。
例えば、
- 営業成績をXX%伸ばした
- 商品開発・サービス開発を行った
- 自らの工夫によりXX%業務効率を改善した
- プロジェクトに参画して成果への貢献をした
- 社内の賞を受賞した
といった
- 自分が仕事で工夫して取り組んだ結果、何かを変えることができたこと
- その結果、自分の成果が会社や上司に認められたこと
がないかを思い返してみてください。
実績や成果を数値化できる内容は、なるべく数字データで示すことで説得力が増します。
チームやプロジェクト単位で成果を出した場合は、そのチームやプロジェクトの中で、自分がどのような役割を担って貢献したのかを明確にしておきましょう。
手順3:業務を通じて備わった「業務経験」と「スキル」を洗い出す
実績を書き足せたら、最後に業務を通じて備わった業務経験とスキルを洗い出します。
業務経験は、どのような業務をどのくらいの期間(何年・何ヶ月)担当したかを、サマリしたものです。
手順1で洗い出した内容をサマリするだけなので、それほど難しくないと思います。
スキルは、業務を通じて備わった、または業務をするために身につけたものを思い返します。
抜け漏れのないように、テクニカルスキル・ヒューマンスキルの両面で洗い出して見ましょう。
- テクニカルスキル:業務にまつわる資格取得、プログラミング言語、設計開発、PCスキル(Excel、PPT)など
- ヒューマンスキル:マネジメント、論理的思考力、コミュニケーション、プレゼンテーション、調整・交渉力、ビジネスマナーなど
お疲れ様でした。これでキャリアの棚卸しはひとまず完了です。
「キャリアの棚卸しシート」テンプレート・参考事例
本記事で紹介しているテンプレと参考事例(3点)が入ったPPTをダウンロードできるようにしておきますね。
キャリアの棚卸しにおけるヒント
「3年以上の業務経験」と「レアな体験」は特に価値がある
一つの業務を学んで他人に教えられるほどになるまでの期間の目安は、およそ「3年間」と言われています。
業務内容にもよりますが3年間同じ業務を担当していれば、その業務に関しては他人に負けない専門知識や仕事のスキル・経験が備わっていると評価されます。
3年以上の業務経験がある場合は、それが自分のキャリアの軸として考えると良いでしょう。
また、これまでの業務経験の中に、なかなか機会の少ない「レアな体験」がなかったかも思い返してみてください。
「M&Aに関与した経験」
「IPOに関与した経験」
「会社清算・リストラに関与した経験」
など、通常の企業で普段から経験できることではない仕事に従事した経験は、こうした業務を今後予定している企業にとっては評価の対象となる貴重な体験です。
入社歴が浅い人はヒューマンスキルを深掘りする
入社歴が浅い人は業務経験を自分のPR素材にすることは難しいです。
なので、論理的思考力・コミュニケーション・プレゼンテーションなどのヒューマンスキルを深掘りしてみてください。
ヒューマンスキルは数値化して推し量ることが難しいスキルです。
相手に伝えるためのポイントは、どのような業務シーンでどのようにスキルを発揮したのかを具体的な仕事のエピソードとして説明できるようにしておくことです。
これまでの業務の中で、これらのスキルを発揮して仕事を進めた経験がないかを思い返してみましょう。
論理的思考力・コミュニケーション・プレゼンテーションなどのスキルを学ぶための書籍はこちらの記事を参考にしてみてください。
キャリアの棚卸しをした後にすること
履歴書・職務経歴書に落とし込む
キャリアの棚卸しを終えたら、履歴書・職務経歴書に落とし込んでいきましょう。
職務経歴書は、棚卸しした経歴・業務経験などを全て記入する必要はありません。
キャリアの軸にしたいこと、特にアピールしたいことをピックアップしていきましょう。
自己PR、志望動機などは企業に応募する際に応募内容に合わせて更新すれば良いので、まずは埋めれる部分を埋めていきます。
この後のステップでキャリアプランを考えたり、応募先企業の条件を見たりして修正することになるので、この段階ではあまり悩まずに一旦作成してみるレベルで構いません。
キャリアコンサルに見てもらう
転職エージェントに登録している人は、履歴書・職務経歴書ができたらエージェントに内容を見てもらいましょう。
できれば、初回のキャリアコンサルまでにこれらの資料を完成しておくことがベストです。
これまでのあなたの業務経験・スキルと、転職市場価値の基準に照らし合わせることで、どのくらいの企業・年収が狙えるのかを教えてもらえます。
冒頭でもお話しした通り、客観的に自分の転職市場価値を正しく把握することで、転職のミスマッチを減らせます。
転職を有利に進めるために、専門家である転職エージェントにキャリアコンサルをしてもらいましょう。
転職エージェントへの登録がまだの人は下記の記事を参考にしてくださいね。
まとめ:キャリアの棚卸しで自分の転職市場価値を正しく把握しよう!
今回はこれから転職をはじめる方に向けて「キャリアの棚卸し方法」を解説しました。
キャリアの棚卸しは自分の転職市場価値を知る上で欠かせない作業です。
また、次のステップで紹介する「キャリアプランの見直し」のためにも、「キャリアの棚卸し」をしておく必要があります。
この段階で綺麗な見栄え・文章の資料を作る必要はないので、まずはスピード優先で手を動かしてみましょう。
今回は以上になります。