「転職回数が多いと転職で不利になる」という噂を耳にされたこともあると思いますが、今回は採用者視点の本音で解説していきたいと思います。
この記事は、以下に当てはまる方に読んでいただきたいと思います。
- 20代で転職経験が何度かあり、転職回数が気になる方
- 転職回数が多くても採用されやすい方法を知りたい方
筆者は大手電気機器メーカーで管理職をしています。即戦力としての人材を中途採用する立場でもあるので、採用者視点で転職ノウハウや注意すべきポイントをお伝えしています。
20代ですでに何度か転職経験のある人は、今後の転職への影響が気になりますよね。
この記事では、転職回数が採用に与える影響とその理由を解説していきます。
転職回数が多くても採用される転職方法も解説しているので、ぜひ最後まで読んでみてください。
20代の転職回数は2回までにとどめておく
まず最初にお伝えしたいことは、転職回数が多くなるほど採用が不利になることは事実です。人材不足・売り手市場と言われる現在(2022年)でも、その傾向は変わりません。
ですが、20代であれば転職回数が1回の方はそれほど気にすることはありません。
一昔前よりも転職のハードルが下がってきている中、20代で1−2回の転職は普通のこととなっているので、2回目(3社目)の転職では採用が不利になることはほとんどありません。
3回目(4社目)からの転職活動は要注意
20代で3回目(4社目)の転職ということは、大卒であれば1社あたり3年未満で転職を繰り返していることになります。
短期間で転職を繰り返す人は採用側としても慎重に見極めしなければという思惑が働くので、しっかりと対策していなければ転職には不利になります。
20代でまだ転職回数の少ない方は、転職は多くても合計2回(3社)までにするということを意識してほしいと思います。
3回目以降の転職を考えている方に向けて、転職回数が多くても採用されやすい転職方法を後半で解説しています。
「転職に不利になる」=「転職できない」ではありません。「転職が不利になる転職」では、転職できても年収が大幅に下がったり、やりたい仕事に就けないなど、条件の選べない転職になってしまう可能性が高くなってしまいます。
なぜ転職回数が多いと不利になるのか?3つの理由
続いて、転職回数が多いとなぜ不利になるのか?その理由を解説します。
理由1:育ててもすぐに辞めてしまうリスク
採用とその後の人材育成には多くの労力とコストがかかっています。具体的には、このような項目です。
- 採用時の労力
- 人材紹介への報酬支払い
- 採用後の教育
せっかくコストをかけて採用・育成した人材がすぐにやめてしまうことになると会社として大きな損失です。
そのため、採用側としてはできるだけ長期に会社貢献してくれる人材を採用したいという思いがあります。
転職回数が多い人は長続きせずにまた転職してしまうリスクが高いとみられてしまい、採用を見送る可能性が高くなります。
特に大きな企業ほど、長期的に会社に貢献してくれることを期待して、若手の人材育成に力を入れる傾向にあります。
理由2:仕事のスキル・経験不足
一つの業務を学んで他人に教えられるほどになるまでの期間の目安は、およそ「3年間」と言われています。
業務内容にもよりますが3年間同じ業務を担当していれば、少なくともその業務に関しては新人には負けない専門知識や仕事のスキル・経験が備わっています。
逆に、3年以内の短期間で転職を繰り返していると、その分野での仕事のスキル・経験が十分に備わっていないと評価されてしまい採用に不利に働く可能性があります。
理由3:すぐに辞める原因が何かあるのではという不信感
仕事上の「人間関係」が理由で転職活動をする方は非常に多いです。
肌が合わない上司・同僚との人間関係が理由で転職すること自体はネガティブなことではないと思います。
しかし、あまりに短期間で転職を繰り返している場合には、転職者の側にも何か問題があるのではないか?と不信感を抱かれてしまいます。
採用面接は30分ほどの面接が2−3回程度、その短時間に応募者のことを全て知ることは不可能に近いことです。
転職回数が多いことで、「短時間の面接では見落としているすぐに辞める原因が何かあるのでは?」という要らぬ憶測をさせてしまうことになってしまうのです。
転職回数が多くても採用される転職方法とは?
ここまで「20代の転職回数は2回までにとどめておく」「転職回数が多いと不利になる理由」を解説してきました。
しかし、転職のやり方によっては転職回数が多くても不利にならず、採用されやすい場合もあります。
ここでは転職回数が多くても採用されやすい転職方法を解説します。
キャリア形成のベースとなる考え方ですので、ぜひ参考にしてください。
- 各職場での専門スキル・経験に一貫性を持たせる
- 自分の強みを軸に専門フィールドを変える
1.各職場での専門スキル・経験に一貫性を持たせる
転職はリセットで考えるのではなく、キャリアアップとして考えることが大切です。
そのためには過去の業務経験で得た専門スキル・経験を活かしながら転職をしていくことが王道となります。
例えば、ITエンジニアであれば、
システム運用・保守 → プログラミング → 要件定義・詳細設計などの上流工程 → プロジェクトマネージャー
のようにIT開発を軸にしたキャリア形成をすると、会社が変わっても専門スキル・経験に一貫性があるので転職回数はマイナス要因になりません。
もうひとつ例を挙げます。
もしあなたが経理担当であれば、会社が変わっても一貫して経理の業務経験を積んでいくキャリア形成が王道です。
会社が変わることで、
ベンチャー企業 → 中小企業 → 大企業
といった異なる企業規模の経理経験を積んだり、
会計処理 → 月次・年次決算 → IR対応
など異なる経理業務を経験していくことで、一貫して経理という専門分野の中でスキル・経験値を上げていきます。
このように、専門スキル・経験に一貫性を持たせた転職であれば、転職回数が増えた分、経験の幅も増えるためプラス要因として評価されます。
2.自分の強みを軸に専門フィールドを変える
専門スキル・経験に一貫性を持たせることが転職・キャリアアップの王道になりますが、
「営業が肌に合わない」
「経理のように精緻な仕事が苦手」
といった理由で専門フィールドを変えたいという転職動機の方もいると思います。
その場合は、自分の軸となる強みをベースに専門フィールドを変えていくことを意識してみてください。
例えば、英語が得意な営業担当であれば、
国内営業(英語の勉強) → 海外との営業経験 → 海外マーケティング・企画業務
といった転職はキャリアアップとしても十分魅力があります。
また、経理担当でありながらExcelマクロなどを扱いプログラミングが向いてると思ったのであれば、
経理(プログラミングの勉強) → システムエンジニア
と転職することで、経理知識に精通したシステムエンジニアとしてレアな経験を持つ人材としてアピールすることができます。
もし今の自分に強みとなる軸がない場合でも、それほど焦る必要はありません。
20代は若さこそが最大の武器ですので、これから自分の強みを身につけていけば良いのです。
今の仕事を続けながら英語、プログラミング、資格取得など勉強して自分の軸となる強みを作り出すことから始めてみましょう。
最後に:転職回数が多くても大丈夫。20代なら転職に向けて活動しよう!
この記事では、「転職回数が多いと不利になる理由」と「転職回数が多くても採用される転職の考え方」について解説しました。
これまでの専門スキル・経験を活かしたり、自身の強みを軸にした転職活動をすれば、採用されやすいだけでなく更にキャリアアップしていくことが可能です。
20代はまだまだ社会人としてのキャリアを築くための成長期でもあるので、専門スキル・経験を身につけながら、より良い職場環境・キャリアアップを目指して転職にチャレンジしてみましょう。
今回は以上となります。