今回はこれから転職する人に向けて「転職で失敗しない職務経歴書の書き方」を採用者視点で解説していきます。
この記事は、以下に当てはまる人に読んでいただきたいと思います。
- 転職で職務経歴書の書くポイントを知りたい人
- 書類選考で採用者が見ているコトを知りたい人
筆者は大手電気機器メーカーで管理職をしています。即戦力としての人材を中途採用する立場でもあるので、採用者視点で転職ノウハウや注意すべきポイントをお伝えしています。
転職活動をする人は、企業に応募するために履歴書・職務経歴書を準備する必要があります。
書類選考を通過する確率は30~50%とも言われており、実際に応募してみて書類選考通過の難しさを実感する人も多いでしょう。
この記事を読めば、採用者がどういった視点で応募書類を見ていて、そのためにどう対策をすれば良いのか理解できますよ。
履歴書の書き方は下記記事で紹介しているのでセットでお読みください。
職務経歴書の役割を知っておこう
中途採用で応募必要な書類は履歴書・職務経歴書の2つです。
どのような違いがあるのか解説します。
履歴書と職務経歴書の役割の違い
- 履歴書:応募者の「氏名、写真、学歴、職歴、免許・資格」など基本プロフィールを伝える役割
- 職務経歴書:応募者の「これまでの業務経験・実績、スキル」など、これまでの経験を踏まえて入社後にどう活躍できるかを伝える役割
書類選考の視点では、履歴書はあくまで基本情報の確認にとどまり、職務経歴書の内容の方が重要視されます。
つまり、職務経歴書がしっかり作成できているかどうかが、書類選考通過のカギとなっています。
なかなか書類選考が通過できない人は、職務経歴書を見直すことから始めてみましょう。
採用者が見ているポイントは「即戦力となるか」
中途採用をする企業の目的は、即戦力となる人員の補充です。
採用者は応募者が即戦力となる人物かどうかを判断するために、
- どのような業務をどのくらいの期間担当してきたのか
- 業務を遂行するためにどのようなスキルを持っているか
- 業務の難易度やスキルを裏付けるための実績はあるか
- その業務経験・スキルは採用予定のポジションにふさわしいか
といったことを職務経歴書を通じて知りたいのです。
逆に言うと、応募者は採用者が「即戦力となる人物かどうか」を判断できるための材料を職務経歴書に書き込む必要があります。
いくら素晴らしい経歴があっても、採用予定のポジションに関係なければプラスの判断材料にはなりません。
自分の経歴をただ書くのでなく、採用予定のポジションから逆算して採用者にPRする視点で書くようにしましょう。
書類選考を通過する職務経歴書の書き方
職務経歴書フォーマットは自分の経歴に合わせて選ぶ
職務経歴書に指定のフォーマットはなく、レイアウトも自由です。
書き方も、編年形式、逆編年形式、キャリア形式など様々な書き方があります。
- 編年形式:時系列。履歴書と見比べやすく、最もスタンダードな形式
- 逆編年形式:逆時系列。キャリアが長い場合は直近の経歴をPRできるのが○
- キャリア形式:職種やプロジェクト単位で記載。職種やプロジェクトが多い場合は○
決まりはないので、自分の経歴に合わせて、書きやすいものを選べばOKです。
特にこだわりがなければ編年形式のもので記入するのがオススメです。
書類選考を通過する職務経歴書の書き方
職務経歴書の書き方を5つの手順で解説します。
書類選考を通過する職務経歴書の書き方
- 手順1:キャリアの棚卸しをする
- 手順2:「職務経歴」に業務内容・実績を埋める
- 手順3:「活かせる経験・スキル」は具体性を持たせて書く
- 手順4:「職務要約」は読み手に伝わるサマリを書く
- 手順5:「自己PR」は実績を根拠に即戦力となることを伝える
手順1:キャリアの棚卸しをする
職務経歴書に書く前に、まず「これまでの業務経験・実績、スキル」を棚卸ししてみましょう。
そして、そこから採用者にPRしたい内容を中心に職務経歴書に材料をピックアップして整えていきます。
いきなり職務経歴書から書き始めると見栄えや文章を意識してしまうので、まずキャリアの棚卸しをするのがオススメです。
詳しいやり方は下記の記事で解説しているので参考にしてくださいね。
手順2:「職務経歴」に業務内容・実績を埋める
「職務経歴」は職務経歴書のメインパートです。
キャリアの棚卸しをした内容をベースに埋めていきます。
- どのような業務をどのくらいの期間担当してきたのか
- 業務の難易度やスキルを裏付けるための実績はあるか
を採用者に知ってもらうことを意識して書くようにしましょう。
業務内容・実績は社外の第三者が見てわかるように書くということが大切です。
- 社内用語は使わず、専門用語は極力減らす(異業界なら業界用語は補足する)
- 業務内容・規模がわかるように数字(営業売上、プロジェクト人数など)を入れる
といったことに気をつけてくださいね。
棚卸しした業務内容・実績を全て職務経歴書に書く必要はありません。
職務経歴書のボリュームが2枚までに収まるように、採用ポジションのPRになるものをピックアップしていきましょう。
手順3:「活かせる経験・スキル」は具体性を持たせて書く
「活かせる経験・スキル(知識・能力)」のパートは、業務を通じて備わった、または業務をするために身につけたものを記載します。
キャリアの棚卸しで書き出した経験・スキルから、採用ポジションに活かせるものを選出しましょう。
活かせる経験
「活かせる経験」は、数字を入れてどのくらいの経験レベルかを具体的に示すと良いです。
例えば、このようなイメージです。
- 経理・財務経験(5年以上):伝票処理、決算対応(月次、年次)、予算管理、経営分析資料の作成など経験しています。
- マネジメント経験(3年以上):チームリーダーとして、3名の新人育成・業務指導を行なっています。
- M&A経験(1件):法務担当として買収案件にデューデリジェンスから参画し、契約条件の確認に貢献しました。
長期の業務経験、レアな経験ほど価値があります。
採用ポジションに活かせる経験がないか振り返ってみましょう。
活かせるスキル(知識・能力)
「活かせるスキル」は、どのような業務でスキルを発揮したのか根拠を示すことが大切になります。
特にプレゼンテーション、調整・交渉力などのヒューマンスキルをPRする場合は、具体的な業務接点を添えるようにしましょう。
例えば、このようなイメージです。
- 英語力(TOEIC800点):英語でのビジネスメールの他、週1回の海外拠点とのテレビ会議で議事を担当しています。
- プレゼンテーション:販促員向け新商品説明会に向けて、商品説明資料の企画・作成・講演まで1人で担当しています。
- 調整・交渉力:20名規模のプロジェクトリーダーとして、社内外の関係者との利害関係を調整してPJを推進しました。
入社歴が浅い人は業務経験を自分のPR素材にすることは難しいです。
なのでその場合は、論理的思考力・コミュニケーション・プレゼンテーションなどのヒューマンスキルを深掘りしてみてください。
- テクニカルスキル:業務にまつわる資格取得、プログラミング言語、設計開発、PCスキル(Excel、PPT)など
- ヒューマンスキル:マネジメント、論理的思考力、コミュニケーション、プレゼンテーション、調整・交渉力、ビジネスマナーなど
手順4:「職務要約」は読み手に伝わるサマリを書く
職務経歴書の冒頭に書く「職務要約」は、「職務経歴」と並んで大事なパートです。
なぜなら、採用者は「職務要約」を手掛かりにその後の職務経歴書を読み込むからです。
職歴が長いほど「職務経歴」はボリュームは多くなり、どこが応募者のPRしたいポイントなのかが分かりにくくなります。
そこで、職務要約でどの経歴に注目し、どういった経験・実績を積んできたのかのポイントを伝えるようにします。
つまり、職務要約は単に職務経歴の短縮版サマリを書くのでなく、読み手に伝えたいポイントのサマリを書くパートだということに注意してください。
職歴が長い場合は、PRにならない経歴は要約からはカットしても構いません。
応募する採用ポジションから逆算して、自分のPRとなる職歴・実績・スキルに特化して記載をすればOKです。
採用者の読み手の立場になって、「シンプルに、分かりやすく、伝えたいポイントを絞って書く」ということを意識しましょう。
手順5:「自己PR」は実績を根拠に即戦力となることを伝える
自己PRは「即戦力として採用ポジションで働ける」ことをPRしなければいけません。
そのために自己PRで書くべきポイントは3つです。
- これまでの業務内容・実績は何か(根拠1)
- それにより、どのような経験・スキルが備わったか(根拠2)
- それを転職後の採用ポジションでどう活かし、貢献できるか(結論)
順番はこの通りでなくても構いませんが、結論に対して根拠を示す構文で作成することを覚えておいてください。
もちろん、根拠1と根拠2はここまでの職務経歴、活かせる経験・スキルで最もPRしたい内容と揃えておきます。
履歴書の志望動機で書く「これまでの経験・スキルをどう活かし、貢献できるか」と内容が重複しても問題ありません。
むしろ、矛盾がないように合わせておきましょう。
自己PRでは面接でも必ず聞かれる内容なので、自信を持って話せるようによく練り込んでおきましょう。
まとめ:読み手を意識した職務経歴書を作り込もう!
今回は「転職で失敗しない職務経歴書の書き方」を解説しました。
職務経歴書は採用者が「採用ポジションでの即戦力となるか」を判断する重要な書類です。
そのため、単に自分の実績PRをすればいいのではなく、採用者が「採用ポジションでの即戦力となるか」を判断するための材料に絞って書くことを忘れないでください。
転職エージェントに登録している人は、履歴書・職務経歴書を作成したらエージェントに一度見てもらいましょう。専門家の視点で適切に改良点を教えてくれますよ。
今回は以上になります。