転職で年収が下がる理由とその対策【採用者が解説】

今回は「転職で年収が下がる理由とその対策」について、採用者視点で解説していきます。

この記事は、以下に当てはまる人に読んでいただきたいと思います。

  • 転職活動をしていて、年収が下がらないか不安な人
  • なるべく年収が下がらずに転職できる方法を知りたい人
  • 採用者視点の転職アドバイスが欲しい

筆者は大手電気機器メーカーで管理職をしています。即戦力としての人材を中途採用する立場でもあるので、採用者視点で転職ノウハウ注意すべきポイントをお伝えしています。

年収アップを目指して転職活動に取り組む人も多いと思います。

しかし、転職で年収が下がる人が3割以上もいるということはご存知でしょうか?

できることなら転職で収入が下がることは誰でも避けたいはずです。

転職で失敗しないためにも、転職で年収が下がる理由だけでなくその対策をこの記事でまとめているので、是非最後までお読みください。

目次

事実:3割以上の人は転職で年収が減少している

はじめに、冒頭で述べた転職で年収が下がる人が3割以上もいるということについて説明します。

このグラフは厚生労働省|令和2年転職者実態調査を元に、転職による年収の変化を示したものです。

20-30代前半の方は、半数近くが転職により年収が増加するものの、逆に33%の人は年収が減少しています。

また、年代によって差はあるものの、どの世代でも3割以上の人が転職で年収減少になっていることがわかると思います。

ではなぜ年収が下がってしまう人がいるのでしょうか?

転職で年収が下がる理由を解説していきます。

なぜ転職で年収が下がるのか?3つの理由

転職により年収が下がってしまう理由は3つあります。

転職で年収が下がる3つの理由

  1. 理由1:キャリアリセットの転職をしている
  2. 理由2:面接時に年収交渉をしていない
  3. 理由3:年収よりも他の条件を優先している

それぞれ順に解説していきます。

理由1:キャリアリセットの転職をしている

これは特に20−30代の方に最も多く当てはまるケースです。

これまでの業務経験(キャリア)とは全く異なる、異業種・異職種にチャレンジする場合はキャリアリセットとなり、ほぼ確実に年収は下がりることになります。

下のグラフは採用側が転職者の処遇に最も重視することをアンケートした結果です。

「これまでの経験・能力・知識」がダントツの53.7%で重要視されていることがおわかりいただけると思います。

採用側は即戦力として中途採用を考えています。

そのため、基本的に「これまでの業務経験」がない未経験者を有利な条件で採用することはほとんどありません。

もし将来性を期待されてポテンシャル採用することがあったとしても、「業務経験のある人」と比べた場合と同等の処遇は出せないので年収は下がってしまうことになります。

理由2:面接時に年収交渉をしていない

募集要項に年収提示に「経験に応じて」などの補足付きで年収幅がある場合は、内定が出るまでに確認・交渉しておく必要があります。

また、提示されている年収は交通費残業代込みかどうかでも実際の年収は大きく変わります。

募集要項に説明がなく少しでも不明な点があれば面接時に確認しておきましょう。

採用側としては年収込みで採用・不採用を決定しているので、内定後の年収交渉は基本的に難しいということを覚えておいてください。

なので、内定後の年収交渉は、その条件が通らなければ内定辞退する覚悟で臨む必要があります。

そうなると応募側も採用側も困るので、必ず最終面接までに年収の確認・交渉をしておいてください。

採用側も社内の給与制度や市場価値の基準から年収提示をしているので、必ずしも年収交渉が成立するとは限りません。

ただ、採用したい人材であれば、少なくとも前職の年収を下回らない or 少し上がる程度の年収交渉は十分応じてもらえる可能性があります。

理由3:年収よりも他の条件を優先している

3つ目は、

「やりたい仕事がある」
「残業時間を少なくしたい」
「転勤の少ない仕事に就きたい」

など、本人が年収よりも他の条件を優先している場合です。

本人が転職で年収よりも優先したいことがある場合は、ある程度年収が下がっても納得感があると思います。

ちなみに、このグラフは転職者が転職先の企業を選ぶときに最も重視した理由のアンケート結果です。

「賃金が高いから」

に対して、

「仕事内容・職種に満足がいくから」
「自分の技能・能力が活かせるから」
「賃金以外の労働条件が良いから」
「転勤が少ない、通勤が便利だから」

など賃金以外の理由で転職先を決めた方が大半だということがわかります。

転職活動を始める時に「自信が何を優先したいのか?」を分析して、転職条件の優先順位をハッキリしておきましょう。

そうすることで、転職動機の軸がブレずに納得感のある転職活動ができます。

年収が下がってでも転職した方が良いケース4つ

先ほどのアンケート結果のように、転職の目的は年収以外にもたくさんあるはずです。

ここでは年収がある程度下がってでも転職した方が良いケースを4つ紹介します。

年収が下がってでも転職した方が良いケース4つ

  1. 現職を続けてもスキル・経験が身につかない場合
  2. 現職での昇格・昇給が見込めない場合
  3. 現職より労働条件が良い場合
  4. どうしてもキャリアチェンジしたい場合

順に解説していきます。

1. 現職を続けてもスキル・経験が身につかない場合

「単純作業ばかりでスキル・技能が身につかない」
「専門性の高い業務経験ができない」

といった場合は、一時的に年収が下がってでも転職を検討する価値があります。

一時的に年収が減ってたとしても、長期的なキャリアを考えると専門性のあるスキル・経験を身につけた方がはるかに稼げるようになるからです。

ただ、全くの未経験の仕事に転職すると年収が下がりすぎるリスクが高くなります。

そのため、少しでも現職の業種・職種の経験が活かせる転職先を選ぶようにしましょう。

2. 現職での昇格・昇給が見込めない場合

「年功序列で上のポストが埋まっており昇格の見込みがない」
「会社業績が低迷を続けており昇給が見込めそうもない」

といった場合も、一時的に年収が下がってでも転職を検討して良いケースです。

会社の置かれた状況は自身の努力だけではどうすることもできないため、早く見切りをつけましょう。

将来的に年収が高くなる可能性のある会社に身を置いて努力した方が得策です。

3. 現職より労働条件が良い場合

「長時間の残業がない」
「住宅補助などの福利厚生が充実している」

といった場合は、実質的な労働時間に対して給料が増えたり、可処分所得が増えたりするので、ある程度年収ダウンがあったとしても転職を決めやすいでしょう。

逆に、年収が上がったとしても残業代込や福利厚生が悪化すると、実質的に損をしていることもあります。

少しでも不明な条件があれば入社前にしっかり確認しておきましょう。

4. どうしてもキャリアチェンジしたい場合

「どうしてもやりたい仕事がある!」

という場合はキャリアチェンジによる転職もアリでしょう。

ただし、全くの未経験の仕事に就く場合は年収が大きく下がる可能性があります。

少しでも年収を維持できるように、転職前に資格取得をするなど、未経験職種であっても自身が企業へ貢献できることをアピールする準備をしておきましょう。

転職で年収を下げないための方法

ここまで「年収が下がる理由」と「下がってでも転職した方が良いケース」を見てきました。

では年収をなるべく下げずに転職するにはどのようなことに気をつければ良いのでしょうか?

転職で年収を下げないための方法3つを紹介します。

転職で年収を下げないための方法

  1. スキル・経験に一貫性を持たせる
  2. 現職より平均年収が高い企業を狙う
  3. 面接時に年収交渉をする

それでは順に解説します。

1. スキル・経験に一貫性を持たせる

繰り返しになりますが、キャリアリセットの転職はどうしても年収が下がる傾向にあります。

そのため、年収を下げずに転職するには、過去の業務経験で得た専門スキル・経験を活かしながら転職するのが王道です。

逆にこれさえ気を付けておけば、前職の給与を参考に採用するケースが大半ですので、年収アップの可能性が上がります。

戦略的にキャリアチェンジをしたい場合を除いて、これまでの業務経験で得た専門スキル・経験が活かせる転職先を候補にしましょう。

2. 現職より平均年収が高い企業を狙う

年収アップが目的であれば、現職よりも平均年収が高い企業を候補に入れるのが鉄則です。

転職先の給与水準で査定されるため、前職と同じ仕事内容であっても、年収アップする可能性が格段に高くなります。

現職でスキル・経験を積み、事業規模が大きい&儲かっている企業へ転職していくのが、最も年収を上げやすい方法です。

3. 面接時に年収交渉をする

年収交渉は、なるべく高い水準にしてもらえるよう内定が出るまでに確認・交渉しましょう。

これまでのスキル・業務経験が直接活かせる転職先の場合、前職と同等かそれ以上の年収を要望してもネガティブには捉えられません。

ただし自身の市場価値からかけ離れた年収交渉は不採用となるだけですので注意してください。

年収交渉は転職エージェントを経由して行うことで失敗の確率を減らせます。

エージェントはプロとして様々な企業の採用実績を見ているので、応募者のスキル・業務経験からこのくらいの年収は狙えるという水準をよく理解しています。

内定までにあらかじめこのくらいの年収が欲しいということをエージェントに伝えておきましょう。

転職者に代わって企業の採用担当と市場価値に見合う年収を交渉してもらえるので、自身で交渉するよりも有利に進めることができるでしょう。

転職エージェントによって強い業種・地域が異なるので、転職を考えている方はまずいくつかの転職エージェントに登録しておくことをオススメします。

まとめ:年収を下がるリスクを考慮して転職活動しよう!

この記事では、「転職で年収が下がる理由とその対策」について解説しました。

年収がある程度下がってでも転職した方が良いケースもあるため、転職条件に何を優先するのか、転職動機の軸がブレないように自己分析をしておきましょう。

転職で年収を下げないための方法

  1. スキル・経験に一貫性を持たせる
  2. 現職より平均年収が高い企業を狙う
  3. 面接時に年収交渉をする

年収交渉はプロである転職エージェントを通じて行うと有利に進められるので利用した方がお得です。

転職エージェントは採用企業から報酬をもらうため、転職者は無料で利用できます。転職活動を始める方は、自分にあった転職エージェントに登録することから始めてみましょう。

今回は以上になります。

この記事を書いた人

本ブログでは20−30代に向けたキャリア形成・資産運用について役立つ情報を発信しています。

大手電気機器メーカーの経営企画管理職/投資歴15年以上、日本株・米国株・FX・日経225先物/アラフォー3児の父

Twitter「仕事に役立つ思考」「投資・お金の活かし方」について呟いています。

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