今回はこれから経営企画になる人に向けて、「経営企画の仕事内容とキャリアパス」について解説します。
この記事は、以下に当てはまる人に読んでいただきたいと思います。
- 経営企画の役割・仕事内容を知りたい人
- 経営企画になるには、どのようなキャリアパスを歩めば良いか気になる人
筆者は大手電気機器メーカーで経営企画の管理職をしています。これまでの社会人経験を元に、20−30代の会社員に向けたキャリア形成や仕事ノウハウをお伝えしています。
それでは早速見ていきましょう。
経営企画の役割とは?
経営企画の役割を一言で表すと、
社長の参謀として、トップの意思決定をサポートする
だと筆者は考えています。
大きな会社になると、どれだけ社長が優秀でも一人ですべての仕事に目が行き届きません。
そのため、社長に代わって、「事業を見渡し、情報収集し、経営課題を抽出・提言」してくれる参謀の役割が必要になるのです。
その役割を担うのが経営企画のメンバーとなります。
意思決定をするのは社長、経営企画はサポート役
経営企画は、経営陣の意思決定サポートを行いますが、あくまで決めるのは社長です。
経営企画は表舞台には出てこずに、経営を裏でしっかり支える黒子のような役割とも言えます。
「なんか思ってたより地味そう…」
と感じる人もいるでしょう。実際、その通りです。
経営企画に華やかなイメージを持たれている方も多いですが、実際は裏方に回る「地味」な仕事が多いです。
ただ、その地味な役回りが会社経営を潤滑に回すために大切な役割を果たしています。
経営企画の仕事内容は?
経営企画の仕事内容の中でも、特に重要な業務は3つあります。
- 中期経営計画の立案・推進
- 経営陣のトップサポート
- 特命プロジェクトの企画・推進
会社の規模やスタンスによって経営企画の担当業務には幅がありますが、ここでは筆者の経験をもとに解説します。
1. 中期経営計画の立案・推進
「中期経営計画の立案・推進」は、経営企画のコアとも言える重要なミッションです。
- 環境分析
- 市場予測
- 競合他社分析
- 自社の事業ポートフォリオ分析
などを行い、将来のあるべき姿を描いて、現状とのギャップをどうやって埋めるのかを経営計画として落とし込みます。
言わば、会社の進むべき道を見失わないよう、経営の羅針盤として方針を示す仕事です。
難易度が高くかつ重要な仕事なので、経営企画の中でも特に優秀なエース人材がしていることが多いです。
計画した後は、経営計画がきちんと予定通りに進んでいるか、経営モニタリングするのも経営企画の仕事です。
計画とのギャップがあれば、「どこが課題か」「どう改善していくのか?」を、時にはプロジェクト化しながら解決していきます。
2. 経営陣のトップサポート
社長を含む経営陣が一人でできない業務を、経営幹部の「頭、目、耳、口、手、足」の役割となってトップサポートするのも経営企画の大切な仕事です。
- 頭:経営計画・経営課題を解決する策を練る
- 目:事業現場の実態・課題を見極める
- 耳:顧客や事業現場の声を聴く
- 口:経営方針を社内外へ発信・伝達する
- 手:情報分析や資料作成の手を動かす
- 足:顧客先や事業現場を駆け巡る
会社が大きくなると、社内の組織階層も深くなり、事業現場の声を収集したり方針を徹底するだけでも相当な労力がかかります。
多忙な経営陣が一人でできない業務を経営企画がサポートし、経営陣の意思決定をサポートします。
3. 特命プロジェクトの企画・推進
中期経営計画の実行手段として、
- 事業の買収・売却(M&A)
- 大規模な社内構造改革
- 新規事業の立案・推進
など、経営の重要課題を特命プロジェクトとして企画し、その推進を経営企画が担います。
経営企画以外の部門が推進する場合もありますが、複数の部門を巻き込むタイプの大型プロジェクトは、経営企画が推進役を担うことも多いでしょう。
経営企画になるにはどんなキャリアパスを歩めばいい?
経営企画になるにはどのようなキャリアを積めば良いのでしょうか。
経営企画になるためのキャリアパスについて解説します。
1. 社内でキャリアを積んでから叩き上げで異動
最も多いのは、社内で5〜10年以上経験を積んだ中堅以上の人が、昇進・昇格などのタイミングで経営企画に配属されるケースです。
仕事内容の特性上、業界・事業や社内制度、社内外のキーマンに精通している必要があるため、そうしたスキルのある社内の優秀なメンバーを経営企画に集めるのです。
大企業の経営陣になると、バリバリの前線業務から遠ざかってしまう人が多くなります。そうした経営陣が経営企画に求めるのは、何より今の事業現場に精通しているエース人材からの提言です。
どのような職種が起用されやすいか?については会社によっても方針が異なります。
商品企画・事業企画、営業・マーケ、技術などの事業の基幹となる職種や、人事、経理、法務などの経営に不可欠な事務職種から起用される人が多いです。
現職で実績を出し、周囲の信頼を得て、上司にも経営企画への異動希望を伝え続けることが最も確実に経営企画になる方法だと思います。
2. 経営戦略コンサルや企画職からの転職
経営戦略コンサルから経営企画への転職は、スキルや経験が活かせるためとても相性がいいです。
特に転職したい企業の業界でのコンサル経験がある方だと、即戦力として期待されます。
コンサル以外では、経営企画や商品企画・事業企画も仕事の特性が近いため、転職の機会があると思います。
この場合も業界が同じ企業への転職が有利です。
業界も職種も異なる職場から経営企画への転職はハードルが高くなるでしょう。
しかし、最近は経営企画も多様性を求めており、データ分析に強い、デジタルマーケが得意など、自身の強みと企業の経営課題がマッチすれば十分狙える可能性があります。
【補足】新卒で経営企画になるのは難しい
大企業の場合だと、新卒で経営企画に配属されることは、あまりありません。
経営企画の仕事をこなすには、専門スキルや事業経験、社内外のキーマンとの人脈など一定の能力が必要となるためです。
そのため、経営企画になりたいと考えている新卒の人は、経営戦略コンサルに就職するか、入社後に将来経営企画になるためにスキル・資格の勉強をしておくことをオススメします。
どのようなスキル・資格を学べば役に立つかは下記の記事を参考にしてみてくださいね。
まとめ:これから経営企画を目指す人に向けて
今回は「経営企画の仕事内容とキャリアパス」について解説しました。
経営企画は責任の大きな仕事が多く、周囲からのプレッシャーも大きいですが、非常にやりがいのある仕事だと思います。
経営企画は社内のエース人材が集まる場所とも言われますが、筆者の周囲は決して天才肌の人ばかりではありません。
共通しているのは、真面目に業務に取り組んで実績を重ね、コツコツと自己研鑽もしながら周囲の信頼を得てきた人達ばかりだということです。
これから経営企画を目指す人は、今までのキャリアやスキルを見つめ直し、足りないスキルや経験とのギャップを埋めることから始めてみましょう。
資格の勉強をしたり、キャリア形成のために転職するなど、現状と目指す姿とのギャップを埋める行動を取り続けることが大切です。
それでは、今回は以上となります。最後までお読みいただきありがとうございました。