事業計画と経営計画の違いとは?経営計画を策定する意義を解説

今回は「事業計画と経営計画の違い」「事業計画・経営計画を策定する意義」について解説していきます。

それでは早速みていきましょう。

筆者は大手電気機器メーカーで経営企画の管理職をしています。これまでの社会人経験を元に、20−30代の会社員に向けたキャリア形成仕事ノウハウをお伝えしています。

目次

事業計画と経営計画の違いとは?

一般的に、「事業計画」は単体事業の短期的な実行計画、「経営計画」は複数事業の事業計画を束ねた中長期的な全体計画として使い分けられます。

事業計画(Business Plan)

  • 単体ビジネスにおける、事業戦略、収支計画、具体的なアクションなどを取りまとめた実行計画。時間軸は短期視点(1~3年)。

経営計画(Management Plan)

  • グループ共通の経営戦略とグループ内の各事業計画を束ねた全体計画。時間軸は中長期(3~5年)。
  • 時間軸によって、中期経営計画(3年程度)、長期経営計画(5年程度)とも呼ばれる。
  • グループ共通の経営戦略とは、事業ポートフォリオ、DXによる経営強化、SDGs・環境配慮への取組みなど。

「経営計画」と「事業計画」の違いをまとめると下の図のようになります。

「経営計画」は複数の事業の「事業計画」を束ねた会社の全体計画として、より広い範囲かつ中長期的な計画の位置付けとなります。

「経営計画」と「事業計画」に明確な定義はないため、企業によってはほぼ同じ意味で使われている場合もあります。ここでは、日本の大企業でよく使われている「経営計画」と「事業計画」の違いとして解説しています。

事業計画・経営計画を策定する意義

それでは、事業計画と経営計画をそれぞれ策定する意義はどこにあるのでしょうか。それぞれ解説していきます。

事業計画を立てる意義

事業会社である以上、事業をして継続的に利益を出し続ける必要があります。

そのためには、どのようなビジネスモデルで収益を出し、どのような戦略で事業を伸ばし、資金が尽きないように財務管理するかを計画することが大切です

事業計画は、単体ビジネスとして事業を回すための基本的な実行計画として経営者が必ず策定しておくべき計画になります。

経営計画を策定する意義

一方で、経営計画は「複数の事業計画」を「中長期的な視点」で計画することに大きな意義があります。

中長期経営計画を策定する有用性は3つあります。

中長期経営計画の有用性3つ
  1. 全事業に関わるグループ共通の経営戦略のベクトルを合わせる
  2. 短期的な業績にとらわれない中長期視点での目標が定まる
  3. 組織が目標達成に向けて何をすべきか社内外へ共有する

① 全事業に関わるグループ共通の経営戦略のベクトルを合わせる

会社の規模が大きくなるほど、会社全体のベクトルを合わせることが難しくなってきます。

会社全体で今後注力する事業領域や経営方針を合わせることで、各事業がバラバラの方向性を目指すことがないように経営戦略のベクトル合わせをします。

② 短期的な業績にとらわれない中長期視点での目標が定まる

長期的な目標を設定することで、短期的な業績にばかり関心が向かってしまい、将来への投資・仕込みがおろそかになることを防ぎます。

また、3~5年後の数値目標を明確にすることで、逆算して1年後、2年後にどのような数値目標を達成すべきかやそのための取り組みが明確になります。

③ 組織が目標達成に向けて何をすべきか社内外へ共有する

長期的なビジョンや伸ばすべき事業領域を明確にすることで、社内の各組織が何を優先的に取り組むべきかを理解することができます。

また社外ステークホルダである株主や金融機関に対しては、会社の将来ビジョンや経営戦略を明確に示すことで資金調達を有利に進めることができます。

中期経営計画の事例

日本の大企業では、経営計画として3年程度の「中期経営計画」を策定している企業が多いです。

5年以上の「長期経営計画」になると、将来の見通し精度が低く、内容も抽象的なものが多くなるため策定している企業は少なくなります。

中期経営計画を社内では策定していても、社外に公開していない企業も多くあります。
例えば、トヨタ自動車は2030年に電気自動車の年間販売数を350万台という長期ビジョンは発表していますが、中期経営計画を公表することはしていません。

経営計画策定を担当する人は、異業種の中期経営計画も社会トレンドを掴む上での参考になるので目を通しておくと良いでしょう。

昨今のトレンドとしては、DX、SDGsや環境配慮を中期目標に掲げている企業が多いことがわかると思います。 

中期経営計画の参考事例として、社外に発表している企業の一例を掲載しておきます。

中期経営計画を公表している企業の一例

業種企業
※リンク先は各企業の中期経営計画のページです
電気・電子機器三菱重工業
電気・電子機器日立製作所
半導体東京エレクトロン
通信KDDI
総合商社三菱商事
海運日本郵船
空輸JAL
資源INPEX
電力関西電力
医薬品第一三共
化粧品資生堂
食品日清食品グループ
食品キリンホールディングス

まとめ

今回は「事業計画と経営計画の違い」「事業計画・経営計画を策定する意義」について解説しました。

「経営計画」は複数事業の「事業計画」を束ねた中長期の全体計画です。将来ビジョン・経営戦略を公表することで、社内外へ会社の進むべき方向性を周知することができます。

事業計画・経営計画を策定する人は、他社の事例を参考にしてみると良いでしょう。

事業計画・経営計画を策定する人は、他社の事例を参考にしてみると良いでしょう。

今回は以上になります。

この記事を書いた人

本ブログでは20−30代に向けたキャリア形成・資産運用について役立つ情報を発信しています。

大手電気機器メーカーの経営企画管理職/投資歴15年以上、日本株・米国株・FX・日経225先物/アラフォー3児の父

Twitter「仕事に役立つ思考」「投資・お金の活かし方」について呟いています。

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